テント倉庫の生地の種類 涼しく快適に保つ遮熱性に優れた生地とは?
2024.06.20
2024.7.10
工場担当の方々は、夏場、テント倉庫の暑さ対策をそろそろ考えるころではないでしょうか。
テント倉庫の場合、構造上、従来工場にあるような重量のある業務用エアコンを設置することが難しい現状があります。
そこで対策として、スポットクーラーなど検討している方々も多くいます。
それも有効的手段であるのですが、今回は、涼しさを維持する遮熱生地について解説します。
・テント倉庫の暑さ対策を知りたい
・テント倉庫で使用する生地の素材を知りたい
・熱中症リスクを知りたい
という方々は、ぜひ一読ください。
目次
そろそろテント倉庫の暑さ対策が必要
近年特に、気象状況の変化の中で用心しなければならないのは、酷暑です。40℃近い気温も計測されることがあり、まさに今までの夏とは違う認識の仕方も大事です。
酷暑が続く中で、テント倉庫で仕事をしている作業員にとっての危険材料は、熱中症です。
・水分を補給する
・体を冷やす
・休憩を充分にとる
ことも大事なことですが、何より事前の最適な環境づくりをしていきたいです。
熱中症だけでなく、暑いと作業している方々は不快だと感じるでしょうし、作業効率の低下にもつながります。また、テント倉庫の保管物も、高温の状況では良い環境とは言うことができません。
熱中症のデータ
東京消防庁では、過去5年間(6月から9月まで)に、28,817人が熱中症(熱中症の疑いを含む)によって、救急搬送されたという報告があります。
令和4年の熱中症での救急搬送の数は過去5年間で2番目に多く6,013人、令和3年と比較して2,599人増加している現状です。
また、熱中症は、外で起こるという認識をしている方々も多いのですが、住宅等居住場所においての救急搬送の数は、2,482人で全体の割合の41,3%を占めています。さらに言えば、工場で起こる熱中症率も、339人あり、5.6%を占めている状況です。
これは、決して少ないと捉えられる数ではありません。
従業員が訴訟を提起したことにより、多額の賠償金を支払うことになり労災保険料が上がるケースがあります。それだけでなく、労災認定事案を引き起こしたことによって、会社のイメージがダウンしてしまうことでしょう。
ですから、今できる限りの暑さ対策を熟考する必要があります。
参考:https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp
テント倉庫の暑さ対策
テント倉庫の暑さ対策として、
・ベンチレーター(換気装置)
・窓を設置する
・スポットクーラーの設置
……などいろいろ考えることができます。
また、作業員それぞれが水分補給と体調管理を徹底することも大事です。
生地を二重にする
また、テント倉庫の暑さ対策として、生地を二重にすることを検討してみるといいでしょう。
テント倉庫の内側に生地を二重に張ることで、外の気温の影響を受けにくくすることができます。
内幕は結露対策としても有効活用することができるのですが、暑さ対策として、熱伝導を減少させる効果も期待することができます。
かつ、ベンチレーターや、スポットクーラーなど使用することでより快適な仕事環境を作り出すことができます。
テント倉庫の遮熱シートとは
テント倉庫で使用する遮熱シートの特徴は、なんと言ってもテント倉庫の中の温度の上昇を抑制することです。一般的なテント倉庫のシートと比較して、夏場、倉庫内の温度を3〜5℃あたり下げることが可能です。
また、遮熱シートを取り入れることで、紫外線をカットできるメリットがあります。そもそも紫外線こそが、シートを劣化させる原因となってしまうため、反射させることによって生地自体の劣化をかなり遅らせることができます。
さらに、生地の色合いを明るいカラーにすることで、透光率を高くすることができ、光を通しやすくすることができます。
そのような担当者の配慮で、日中のテント倉庫内は、照明がほとんど必要ないほど明るく快適な環境を実現することができます。
遮熱シートのメカニズム
テント倉庫で使用する遮熱シートは、基礎となる布部に特殊配合の塩化ビニール樹脂を貼り合わせたり、シートの表面に遮熱効果を期待できるコーティングを施すことによって、赤外線を効率よく反射させることができるようになります。
コーティングで使用しているPVDF(ポリフッ化ビニリデン)は防汚性能にも優れているため、外壁を汚れにくくする効果も、プラスして期待することができます。
テント倉庫の生地の選び方
テント倉庫の生地は、テント倉庫自体の使用用途であったり、建設地域……あたりの問題によって、使用すべき適した生地が変わってきます。
工場担当の方々が作業員の快適な作業環境を作るため、生地の選択は決して軽視できません。
国交告667号と国交告666号
「国交告667号」と「国交告666号」によって対象となる建造物自体も違ってくるため、選ぶべき生地も違ってきます。
倉庫、物品保管ための用途であり、延べ床面積1,000㎡以下、軒高5m以下、間口30m以下など事項に該当するテント倉庫であれば、国交告667号が適用されます。
また、倉庫・物品保管だけでなく、荷捌き場であったり、作業場として、また、運動施設……などに使用するのであれば、国交告666号が適用されます。
さらに、テント倉庫に保管するモノが、不燃性物品であるか、可燃性物品であるかによっても、生地の素材は変わってきます。
防火地域、準防火地域、22条区域
テント倉庫を設置しようと思えば、
・防火地域
・準防火地域
・22条区域((建築基準法22条指定区域)
などに該当するエリアに設置する場合、以下のようなルールがあります。
・テント倉庫内に保管するモノが不燃性の場合
(防火地域、準防火地域、22条区域)
床面積1000㎡以下で延焼の恐れがある場合には、不燃生地を使用します。
床面積1000㎡以下、延焼の恐れがない場合は、防炎生地です。
・テント倉庫内に保管するモノが可燃性の場合
(防火地域)
床面積100㎡以下、延焼の恐れがない場合は、不燃生地を使用します。
(準防火地域)
床面積500~1000㎡以下、延焼の恐れがない場合は、不燃生地です。
床面積500㎡以下、延焼の恐れがない場合、屋根部は不燃生地、外壁は防炎生地です。
(22条区域)
床面積1000㎡以下、延焼の恐れがない場合は、屋根は不燃生地、外壁は防炎生地を使用します。
防炎生地とは
防炎生地は、燃えにくいという特徴をもっています。実際に炎をあてると燃えてしまうのですが、火を生地から離せば自己消火によって、これ以上燃え広がることを抑制することができます。また、不燃生地より安く設置が可能です。
・ハリケーン®遮熱
・フェラーリ 602 PVDF®
などがメーカーより提供されています。
不燃生地とは
不燃生地は、燃え抜けないという特徴のある生地です。炎をあてて表面側は燃えてしまうのですが、裏側までは炎を通しません。
穴が開かないことによって、飛び火での火の粉が貫通しテント倉庫内に侵入してしまったり、内部の可燃物に引火し類焼することを防ぐことが可能です。
防炎生地よりも不燃生地の方が、火に対しての強い効果を発揮してくれます。
不燃生地には、
・クローザーV3
・DynastarB300「ダイナスター」
などの商品がメーカーから提供されています。
遮熱シートの種類
遮熱シートには、
・ハリケーン®遮熱
(メーカー 帝人フロンティア株式会社
材質 ポリエステル)
・ウルトラマックス®クール
(メーカー 平岡織染株式会社
材質 塩化ビニールフィルム+ポリエステル基布)
・エバーマックス®450COOL
(メーカー 平岡織染株式会社
材質 塩化ビニールフィルム+ポリエステル基布)
などが商品提供されています。
ハリケーン®遮熱は、赤外線をカットする処理を施し、通常のハリケーンと比較し、夏場3~5℃テント倉庫の気温を抑えることが可能です。(*全面を覆わないと効果は薄れてしまいます。また、一部だけ遮熱シートを使用しても他方面から赤外線が多く内部に入り込み、温度は上昇します)
充分、遮熱効果を期待することができ、倉庫内の快適性、かつ、節電・省エネに効果的
です。また、アイボリー、ホワイトのカラーは、日中倉庫内の照明がなくても問題ないほどに明るい環境を作ることができます。
ウルトラマックス®クールは、安定したクオリティーと豊富なカラーバリエーションのテント倉庫用の膜材料ウルトラマックス®をベースに、プラスしオリジナルの特殊配合を施した国土交通大臣認定の指定建築材料です。太陽光からの熱線を効率良く反射させることができ、熱線の吸収を防ぎ、従来の膜材料と比較して、夏場3~5℃内部の気温を抑えることができます。
エバーマックス®450COOLも内部の気温を、夏場3℃~5℃抑えることができます。また、赤外線だけでなく紫外線の吸収も抑制でき、耐候性に優れています。
長い時間の雨降りでも、吸水防止機能が備わっているため水ジミになりにくく、また、NF防汚加工によって、防汚性にも優れ、屋外で使用してもおおよそ8年の耐久性を実現します。
まとめ
いかがでしょうか。今回は、テント倉庫で使用される生地の種類について紹介するとともに、遮熱効果を期待できる生地について解説しました。
もちろん、防災の視点でも生地についてよく考えていくことが必要です。
しかし、同じレベルで、熟考しなければならないのは、テント倉庫の暑さ対策です。
テント倉庫の暑さ対策は、生地からも改善が可能です。 ぜひ慎重に生地の素材を見極めてください。