荷捌きテントには緩和処置が適応される?建築確認申請とは
2023.02.20
2024.4.19
それぞれ経営者の方々が、業務効率アップのためテント倉庫の建築を検討しているのではないでしょうか。
テント倉庫の種類の中に、荷捌きテント(上屋テント)があります。
また、荷捌きテントを建築しようと思ったときには、確認申請が必要となります。
また、確認申請を行う際には、膜建築物について定める法令である国土交通省告示の条件の確認も必要です。
(第666号or第667号)
今回は、これから荷捌きテントを建築しようと思っている方々のため、確認申請について、流れ、国土交通省告示について解説します。
気になる方々はぜひ一読ください。
目次
建築確認申請とは
テント倉庫、また荷捌きテントを建築しようと思っている方々は、まずは建築基準法にあるルールに従い行動する必要があります。
建築基準法において、それぞれ建築物を建築する場合、建築物が法規に従っているか検証する建築確認の制度があります。
荷捌きテントなどを建築しようと思っている方々は申請をし、建築確認を受けて確認済証の交付を受ける必要があります。
建築確認申請をしないまま工事をスタートしたり建てたりしてしまった場合は違法行為となります。 施工会社であったり敷地所有者に対し違反を是正する措置が求められ、従わないと施工の停止、使用禁止命令などが下されることになります。
建築確認申請をなぜしなければならないのかと言えば、これから建築しようと思っている建築物が、建築基準法であったり、諸々の法律、また政令、条例と言ったものに適合しているかを、実際に建築工事に入ってしまう前に行政側が審査を下すためです。無論、建築確認を承認してもらうことができなければ、工事に入ることができません。
建築確認申請では、
・建築基準法 (建築物が最低レベルで守らなければならない基準)
・消防法 (火災予防のため必要となる法律)
・都市計画法 (行政が計画している都市作りを行うための土地利用や建物規制に関するルール)
などの法律に則っている建築物であるかが確認されます。
荷捌きテント、またテント倉庫を建築しようと思っている経営者の方々は、建築工事に入る前までに役所、または民間の指定確認検査機関に申請が必要となります。
用意しなければならない書類は、
・建物に関しての仕様書
・工法に対しての認定書
・設計図
・付近見取図などの図面、資料一式
・構造計算書
あたりとなります。
荷捌きテントの建築確認の流れ
ちょっと以前は、建築確認申請は行政機関で行うことが流れでした。しかし、現在は、国から許可を得ている審査期間でも行うことができるようになり、こちらで行う方々がほとんどとなっています。
確認申請の届けを出す
荷捌きテントの建築工事がスタートする前には、審査機関や行政機関に対して確認申請の届けを出します。
そして、審査機関などでは建築物の建築計画が建築基準法等に適合しているかを判断します。
申請書を受け付けし、確認している最中で不備であったり調査が必要と判断されたケースになれば、そうとう余計な時間がかかってしまうこともあります。
そのような事態となってしまわないように、あらかじめ審査される方々に相談し、ネックとなりうる部分の指摘を受けて解決し確認申請の届けを出すことしが一般的流れとなっています。
確認済証を受け取る
行政機関における建築確認の審査には期限が決められています。行政は申請を受け付けしてから35日以内には、建築計画が法に適合しているかを判断して申請する側へ回答しなければなりません。また、必要であればさらに35日間猶予され審査が行われます。(最長70日間)
一方民間での審査機関の場合、行政機関よりもスピーディーに審査を行って回答するのが一般的な流れです。
さらに、消防署における審査が3日また7日間行われることになります。
建築物が建築基準法等に適合していると判断された場合には、確認済証を発行してもらうことができます。
確認済証を発行してもらうことができれば、いよいよ工事をスタートすることができます。
完了検査の申請、完了検査
さらに、建築工事が完了した段階で、4日以内に審査機関などに対し完了検査の申請を行う必要があります。
申請が受理されれば、7日以内に完了検査が行われます。検査結果に問題がなければ審査機関などから検査済証が交付されることになります。
同時に、消防署からの検査を受ける必要があります。
この工程まで完了した段階で、晴れて荷捌きテント、テント倉庫を使用することができるようになります。
荷捌きテントには緩和処置が適応される?
また、テント倉庫や荷捌きテントは、膜建築物について定める法令「国土交通省告示」を確認する必要があります。国土交通省告示は、一般の建築物と同様の扱いがされるよう基準を定めたものです。
ただし、国土交通省告示第667号の提示する条件を満たしているのであれば緩和処置が適応されます。
テント倉庫の場合には、「国土交通省告示667号」が適応されますが、荷捌きテントは、「国土交通省告示666号」です。
荷捌きテントは国土交通省告示666号
荷捌きテントでは、国土交通省告示666号が適応され、建物の高さは、13m以下となります。(構造計算により確認すれば13m越えも可能)
また、床延べ面積は、1,000㎡以下です。(構造計算により確認すれば3000㎡まで緩和可能)
屋根の形状は、切妻、片流れ、円弧屋根とします。
膜材は、大臣認定を受けたA種膜材(テフロン膜など)B種膜材(ガラス繊維入り不燃膜など)C種膜材(防炎膜)を使用します。
国土交通省告示第666号においては膜構造の建築物とされ、国土交通省告示第667号にあてはまらない建築物などの法規となります。
国土交通省告示666号の基準においては、倉庫だけでなくいろいろな用途で利用することが可能です。
テント倉庫は国土交通省告示667号
一方で国土交通省告示667号においては、使用目的は倉庫限定となります。
国土交通省告示第667号の場合、テント倉庫をスムーズに建築するための緩和がなされた法規です。
ただし、緩和措置を受けるためには平屋建てで、延べ面積が1,000㎡以下であることが条件です。
また、軒高5m以下であることが必要です。
屋根の形状は、切妻、片流れ、円弧屋根とします。
また使用する膜材は、大臣認定を受けている倉庫用の膜材を使用しなければなりません。
荷捌きテントが国土交通省告示第667号に該当しないメリットデメリット
国土交通省告示第667号の諸条件に該当することによって、緩和措置を受けることができます。
構造計算書の妥当性に関しての適合性判定(*ピアチェック)(*構造専門の技術者に構造計算書の妥当性をチェックさせるシステム)が不要となるなど緩和措置適用によって、テント倉庫は一般建築物と比較して低コスト&短工期を実現することができます。
一方で荷捌きテントの場合、国土交通省告示第666号のルールに従い建築する必要があります。
残念ながら667号の適用は荷捌きテントにはありませんが、だからこそ荷捌きテントはテント倉庫以上フレキシィブルな設計が可能なメリットがあると考えることができます。
実際に経営者の方々がテント倉庫として国土交通省告示第667号のルールに当てはめようとしてしまうことで、かえって期待している業務がスムーズに行えなくなってしまうことがあるかもしれません。
荷捌きテントの場合、柱本数を削減することによって全天候型の荷捌き場として活用でき、工場や物流倉庫などのトラックの荷物の積み込みや、積み下ろし時の作業効率アップに役立たせることができます。
さらに、様々な用途として利用することができ(上屋テント)、荷捌き場以外にもスポーツ施設などにも活用することができます。
採光性の高い膜材を使用し太陽光を取り入れることで自然な明るさかが広がって快適な作業環境を実現することができます。
まとめ
いかがでしょうか。
今回は、荷捌きテントを建築する際に必要となる建築確認申請について解説しました。
荷捌きテントを建築しようと思ったときには、確認申請が必要となります。あらかじめ申請の流れをつかんでおくといいでしょう。
また、国土交通省告示667号の条件を満たすことができれば、建築確認についての緩和措置を受けることができます。
ただし、荷捌きテントは国土交通省告示666号となり緩和措置には該当しません。
しかし、国土交通省告示667号には条件があり、それが業務の足かせになってしまうこともあるでしょう。
荷捌きテントは、そのような意味でテント倉庫以上自由性の高い建築物ということができます。